エボラ出血熱はエボラウイルスによる感染症であり、ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱等とともに、ウイルス性出血熱(viral hemorrhagic fever:VHF)に分類される一疾患である。
エボラ出血熱患者が必ずしも出血症状を呈するわけではないことから、国際的にエボラ出血熱に代わってエボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)と呼称されている。以後、EVDと略する。
EVDの公衆衛生学上の重要な特徴は、致命率が高いこと、血液や体液との接触によりヒトからヒトへ感染すること、条件が整うと比較的大きな流行に発展することがあることである。
そのため、EVDの流行は、しばしば注目を浴びてきた。2018年5月にコンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo:DRC)北西部の赤道州において同国9回目の集団発生があり、54例(死亡33例)が報告され7月に終息した。
しかし、同年8月に北東部の北キブ州において同国10回目の新たな流行が発生し、2019年3月現在も続いており長期化している。
なお、WHOは本流行の発生を受けて、2018年10月17日に国際保健規則(IHR)緊急委員会を開催したが、現時点では本流行は国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern:PHEIC)には該当しないと結論づけられた。
一方で、WHOは引き続きEVD患者発生状況に対して懸念を示し、対応の強化や継続的な警戒が必要であることを指摘している。
国立感染症研究所より